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デジタルハリウッド大学院生によるリアルな生成AI活用方法(3)

2024年10月8日作成
はじめに
デジタルハリウッドアカデミーでは、デジタルハリウッド大学/大学院に在籍する学生の生成AI活用事例をインタビューしています。
そこで今回は、デジタルハリウッド大学院生の尾嶋志紀さんにインタビューをいたしました。
デジタルハリウッド大学院生の尾嶋志紀さん

Q: まず、尾嶋さんの研究内容について教えていただけますか?
A: 大学院の研究では主に3DCGの研究をしています。具体的には、CGを使ったエフェクトの研究やツール開発、新しい表現づくりの研究をしています

Q: 生成AIを活用した授業を受けたことはありますか?
A: あります。「デジタル表現基礎(※1)」「サービスプロトタイピング(※2)」「ビジネスプランニング特論(※3)」という授業でChatGPTを活用しました。
「デジタル表現基礎」ではPythonの使い方に関する動画教材を見ながら自己調整学習をしました。「サービスプロトタイピング」ではJavaScriptを使ってサービスを作り、「ビジネスプランニング特論」では生成AIを使ってビジネスプランを立てました。
(※1)デジタル表現基礎:動画教材を用いてWebデザインやプログラミングといったデジタルツールの使い方を身に着けるための授業。
https://portal.dhw.ac.jp/slresult/2021/japanese/syllabusHtml/SyllabusHtml.2021.ZM3A0180.html
(※2)サービスプロトタイピング:JavaScriptの技術を身に着けることで、シンプルなWebアプリケーションを作成する授業。
https://portal.dhw.ac.jp/slresult/2021/japanese/syllabusHtml/SyllabusHtml.2021.ZM2E0220.html
(※3)ビジネスプランニング特論:自らの起業や新規事業立案のためのビジネスプランを作る方法を体験する授業。

Q: 「デジタル表現基礎」を受けるにあたって、どのようにChatGPTを使いましたか?
A: 「デジタル表現基礎」ではPythonの基礎を学べるものの、どのように自分の研究に応用すればよいのか分からない状態でした。そこでChatGPTに「こういう要素を使って少し実践的な問題を組んでください」といったリクエストをし、実践を重ねました。文章検索を助けるPythonプログラムを作る練習をするために、ChatGPTに大量のデータを用意してもらい、その中から特定のログを抽出する問題も作ってもらいました。データを作るところからやってくれるので便利でした。

Q: ChatGPTを補助教材として使ったようですが、理解度は上がりますか?
A: そうですね、理解度は上がりました。ただし、ChatGPTで回答されたものをそのままコピーして使うのではなく、自分で打ち込むのが大切だと思いました。
また、ChatGPTへの質問もコツが必要だと思います。例えば、いきなり「画像認識アプリを作りたい」と言ってしまうと、すごく複雑なコードが出てきてしまうので、「初心者にも分かるように教えてください」といった文言を付け加えて質問すれば、ChatGPTはステップバイステップで丁寧に教えてくれます。参照リンクを貼ってくれることもあります。
ただ、プログラミング知識がある方が、ChatGPTの回答をうまく活用できると思うので、プログラミングの基本的な勉強は自分でやっておく必要があると思います。

Q: 「ビジネスプランニング特論」の授業におけるChatGPTの具体的な活用方法を教えていただけますか?
A: 色々な分析をChatGPTに依頼することが多かったです。例えば、自分が考えたサービスが提供するユーザー体験のストーリーを作ってもらいました。
また、アイデア出しにもChatGPTを活用しています。例えば、AIに30個ほどビジネスプランを出してもらい、その中から「これは良いな」と思ったものを3つ選んで、更に自分で膨らませました。私は子ども向けのデジタルコンテンツを作るというビジネスプランを考えて、そのアイデアをいろいろと出してもらいました。

Q: 「ビジネスプランニング特論」でChatGPTを使った結果はいかがでしたか?
A: 個人的には、アイデア出しに関してはChatGPTは弱いと感じました。一定の水準のものを出すという点では使えると思いますが、内容が偏りがちです。また、新しいビジネスを作りたくても既存のアイデアしか出てこないんです。プログラミングを使って新しい子ども向けのデジタルコンテンツスクールを作るとか、デジタルアートのスクールを作るといった、既に存在しそうなアイデアばかりが出てきました。
担当の西尾先生も「最初はChatGPTやAIを使いつつ、最終的には自分で考えてください」とおっしゃっていたので、全部をAIに任せすぎないことが大事なんだなと思いました。

Q: 逆にどの部分なら生成AIに任せてもよいと感じますか?
A: 本当に最初のアイデア出しの段階や、分析系の作業にはAIに任せてもよいと思います。ChatGPTはある程度条件を指定すれば、すごいスピードで分析してくれるので。もちろん、それを完全に信じるのは良くないとは思いますが、1つの例としてその分析結果を見るのは有効かなと思います。
実際私も「デジタルコンテンツスクールを作った場合、どれくらいの集客が見込めますか?」とか、「授業をこの単価で提供した場合、現在の市場の傾向からしてどれくらいの収益が見込めますか?」といった質問をして分析してもらいましたが、正確に計算をしてくれました。あくまで1つの例とはなりますが、計算結果は参考になりました。

Q: 授業でも研究でもかなりChatGPTを活用なさっているのですが、仮にChatGPTがなかったら、自分の学生生活はどうなっていたと思いますか?
A: ChatGPTなしでも授業や研究を進めることはできると思いますが、その場合、少なくとも4倍の時間がかかるでしょう。一方で、AIに頼りすぎると、学習の機会を逃してしまうとも感じています。
例えば、コードを書くことには自分自身の成長やこだわりが反映されると考えており、全てをChatGPTに任せるのは避けたいです。
大学院の中には、「こういう機能を実装したい」とリクエストして、すべてのコードをChatGPTに書かせる人もいますが、私は自分のアイデアや学習を重視したいと考えています。
ChatGPTを使っていて気づいたのは、コードを書かせるとエラーが出ないように慎重に書かれるため、必要以上に冗長なコードになることが多いことです。ですので、私は主に自分で書いたコードのエラーチェックにChatGPTを活用しています。本当に分からないことがあったときにAIに助けを求めることはありますが、AIに書かせたコードをそのまま使うのではなく、内容を理解しつつ、自分で書くように心がけています。そして、必要ない部分は省いて、より簡潔なコードにするよう努めています。

Q: ChatGPTのお考えを共有いただきありがとうございます。そもそも、生成AIを使おうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
A: 私はデジタルハリウッド大学出身なのですが、私が大学3〜4年生だった頃に、学内で「画像生成AIがすごい」と話題になり始めたんです。私は昔から絵を描いてイメージを作るのが苦手だったので、「Midjourney」を使ったときは画像生成AIを使ってイメージ出しができることに感動しました。「Midjourney」で生成AIが優秀だなと感じてから、色々な生成AIを試すようになりました。

Q: 画像生成AIについて大学内での反応はどうでしたか?
A: 大学の頃も、大学院に進んでも、クリエイターの中には賛成派と反対派が分かれているように思います。自分も完全に賛成派ではありません。
AIを使ってものを作るのは楽しいですが、完全にAIに作らせたアートが増えている近年ではAIっぽい構図が目立つようになっています。アートの内容が偏っている気がするので、それが主流になると世の中がつまらなくなるのではないかと思います。

Q: なるほど、ありがとうございます。最後に、AIを使ってみたいものの使い方が分からない学生さんや、躊躇している学生さんにメッセージがあるとしたら、どういったことを伝えたいですか?
A: まず、AIを使うことに不安を感じている人には、まずはAIで遊んでみることが第一歩だと思います。学習に使うことは最終的な目標にすれば良いので、今流行っているAIで、ちょっと遊んでみようという感覚で使ってみると良いかもしれません。遊んでいるうちに、AIの何がすごいのかが分かってくると思います。

Q: どういった遊び方がおすすめですか?
A: AIは本当に何でもできて、ゲームをしたり、物語を一緒に作ったりすることもできます。例えば、自分が物語の一部を入力して、続きはAIに書いてもらうといった交互に物語を作っていく遊び方もあります。
また、AIに「あなたはこういう役をやってください。私はこういう役をやります。ゲームのルールはこんな感じです」といったプロンプトを与えると、本当に忠実にそれに従ってゲームを作ってくれます。遊び方は無限大ですね。

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